特色ある講義・実験

情報工学科・専攻

情報工学実験Ⅰ・Ⅱ助教 石川直樹、准教授 井上博之、准教授 市原英行、准教授 大田 知行、准教授 小畑博靖、助教 窪田昌史、助教 児島彰、講師 新浩一、准教授 高野知佐、教授 永山忍

プログラムやネットワークを実践から学ぶ

ライントレースとリモートコントロールの精度を競うコンテスト

マイコン制御は、エアコンの温度調節やカメラのオートフォーカス、自動車のエンジン制御など、私たちの生活において当たり前のものとして、幅広い分野で利用されています。情報工学実験Ⅰ・Ⅱでは、このマイコン制御のプログラム開発スキルを、実践を通して体得していきます。センサーから得られる情報を抽出、解析して、どう運用していくのか。通信プログラムの作成と共に、原理を学びます。

情報工学科を中心に、コンピュータインフラやネットワークに関心のある情報工学科の学生3年生が履修しています。講義ではプログラム構築、テスト、修正を繰り返しながら、自律走行するロボットカーを製作。パソコン、タブレットを駆使して、走行プログラムと通信プログラムを構築していきます。学生を3〜4人ごとにチームに分け、ロボットカーの走行精度を競うコンテストも開催。製作中はディスカッション、コンテスト後には発表の場があり、チームワークやコミュニケーション能力も磨いています。

一定のレギュレーションはあるものの、課題へのアプローチ手法は、開発者である学生の自由。開発者の個性が出るプログラミングができる実習です。画面上の学習ではなく、実機を製作、操作することで、学生は「使える知識」を得ているようです。マイコン制御は、より高度化し、より身近になるものと予見されますが、技術者が少ない分野。ハードウェアを理解した上でプログラムを書ける人材は、通信系や半導体系の業界で活躍できるでしょう。

ワイヤレスネットワーク西正博教授

加速する情報化社会に対応できる人材に


携帯電話や無線LAN、テレビ・ラジオ放送、衛星通信など、電波を使ったワイヤレスネットワークのシステムはさまざまな場所で活用されています(下図参照)。これからも確実に発展していくであろう情報化社会において、電波伝搬のメカニズムや、通信・放送での電波の応用など、無線に関連する実践的な知識や技術を学ぶことは大変重要だと考えられます。本講義はこれらの知識習得のため、座学のみならず、ネットワーク設計のための解析的な演習も行っており、数学の基礎知識が必須であると言えるでしょう。

電波にも種類があり、またその使用周波数には限りがあります。例えば携帯電話においては、高速通信の需要や利用者の急増により、現在割り当てられている周波数はひっ迫した状態です。より高い周波数を利用する必要があるのですが、届く距離が短く多くのアンテナを必要とするため,効率的なネットワーク設計の技術が求められます.また、2011年にテレビ放送が完全デジタル化しましたが、電波の大地や建物からの反射の影響を考慮して、できるだけ画質が劣化しないような信号方式が使われるようになりました。と同時に、テレビの完全デジタル化は、利用度が高まるにつれひっ迫していた電波周波数を整理して、テレビ以外の放送や通信サービスに有効利用できるようになったのです。

増え続ける電波の需要に対応するため、昨今では新たな研究も進んでいます。アドホックネットワークと呼ばれるシステムは基地局を必要としない端末同士の通信で、災害時の緊急対応が必要な場合などに有効活用できると考えられます。高度な研究に携わりたいと研究室に入り、より発展的な学びを得て、通信系のエンジニアとして活躍している卒業生もいます。与えられた知識のみを身につけるのではなく、興味のある分野をとことん追求し、自らの可能性を広げてほしいと思います。

知能工学科・専攻

機械学習高濱徹行教授

ニューラルネットワークによる文字認識(上)と、スポーツをする日を学習した決定木(下)

この講義で学ぶのは、人間の学習能力と同様に「学びながら能力を向上する」コンピュータの原理。通常はプログラム通りにしか動作しないコンピュータに、経験によって能力を向上させるアルゴリズムを実装することで、学習能力が生まれます。古くはバックギャモン、近年は将棋や囲碁などのボードゲームで人間に勝利し注目を浴びた、人工知能(AI)技術の一つ。身近なところでは、迷惑メールフィルタにも、この原理が使われています。

講義では、人間の神経回路をモデルにした「ニューラルネットワーク」についての学習から始めます。これはAIの急速な発展を支える機械学習「ディープラーニング」のベースになるもの。座学が中心ですが、デモプログラムによる機械学習の様子を体験しながら、時に手計算による演習なども行い、原理をしっかりと把握します。ニューラルネットワークを理解した後は、たくさんの情報の中に隠れている性質やルールを取り出す「概念学習」や、複雑なデータを分類するための木構造を学習する「決定木の学習」などの帰納学習を学びます。これらは経験として正解を教わりながら学習する「教師あり学習」ですが、正解を教わらずに学習する「教師なし学習」も学びます。

機械学習の利点は、人間の能力では扱い切れない大規模なデータに対しての適用が可能だということ。例えば学術界でいえば、刊行される全ての論文を読み込むことなど人間には不可能ですが、機械学習を実装したコンピュータであればデータを蓄積し、結論まで導き出せます。最先端の知識や情報を読み込み活用できることから、医科学分野での活躍も期待できる技術です。本講座では、古典的な手法から現代に生きるベーシックな理論まで、AI技術者を目指す学生にとって「基本中の基本」を学べるものです。

感性情報処理松原行宏教授

「人間らしさ」をコンピュータの世界に

図1.感性情報処理や感性工学の概念図

人工知能の研究が始まって60年ほどが経ちました。よりヒトに近いコンピュータの実現を目指し研究がスタートしたのが、感性情報処理です。感性とは「すてき」とか「きれい」と感じる、外界の刺激に反応するヒト独特の心の動きです。なぜそのように感じるかを科学的に解明し、数値化することにこの学問の意義があります。産業界から上がった「顧客の感性に訴えるものづくりを」の声に呼応し、感性情報処理は今やさまざまな業界で活用されています(図1)。

図2.河川護岸での応用例

ある自動車メーカーや眼鏡メーカー等で使われたのが、SD法という5段階評定尺度法です。ひとつの眼鏡に対し、真面目そうかそうでないか、個性的かそうでないかを多数の人間で得点化すると、フレームの形やデザインに対し平均値が見えてきます。また、遊歩道や護岸工事などの公共工事でも、住民参加の統計解析が行われることがあります(図2河川護岸での応用例、 http://www.skr.mlit.go.jp/yongi/r_kansei3/index.html)。これらのような手法を取り入れ、感じ方を数値にすることで、大多数の理想像に一致した製品や環境づくりを行うことができます。

数値化した感性を取り込めば、ロボットはより人間らしくなります。自動車のナビシステムやスマートフォンに搭載されている音声アシスタント機能など、まるで人間同士のような受け答えに驚いたことのある人も少なくないはずです。感性情報処理という学問は、SEや企業内での開発設計部門へ就職を志す学生こそ、絶対に学ばなければなりません。この学びを真に理解し応用できるかどうかが、今までにない開発へのカギとなるでしょう。

システム工学科・専攻

システム工学実験Ⅰ・Ⅱシステム工学専攻准教授・講師・助教全教員

ロボット製作を通じ ハード・ソフト両面を学ぶ

実験中の学生

今やロボットは車や家電などに応用され、どこにでも売っていて、まさに「購入するもの」となっています。それらの仕組みを知り、ハード面からソフト面まで、全てを一から作り上げてみませんか。この学科ではまず、二輪駆動ロボットの遠隔制御、自律制御を行うシステムを構築。そして、システムを構成するハードウエア及びソフトウエアに関する要素技術と、システムが最適化されるように要素技術を統合するシステム化技術を習得することを目的としています。

前期は、教材用「二輪駆動ロボット」を2人(3人の場合も)で1組になり、基板から組み立てていきます。個体差のある小さなパーツ一つ一つの役割を理解し、コントローラをプログラミングし、手動でロボットを動かすことが目標。後期は、前期で完成させたロボットに自律制御を追加。画像処理、物体認識、仮想的GPS、位置制御などを組み込んだ高機能な自動化ロボットを完成させます。前・後期ともコンテストを設け、技術を競います。指導教員や大学院生のティーチング・アシスタントが、手厚く指導するのも特徴でしょう。

システム全般について広く学べるので、好奇心旺盛で現状に満足していない人、問題意識を持っている人には、その思いを現実化できる学科だと考えます。
コンテストまでの道のりは、想像以上に大変かつ有意義です。これらの経験を就職活動に生かす学生もたくさんいますし、卒業生からは「ここで学んでおいてよかったです」という声が寄せられています。アナログ回路の知識を求める企業、LSI関連の部署を持つ企業から注目されています。

ロボティクスⅠ・Ⅱ岩城敏教授

ロボットメカニズム研究に直結する夢のある学び

人間の身体や動物を一つの理想形とし、それらにどれだけ近づけられるかを考えるのが、ロボット研究の一つの方向性です。人間や動物の主な構造的特徴は、回転関節(肩やひじ)とリンク(腕や脛)です。これらが複数直列に繋がって行くことで、手先・足先・指先・頭部等の部位が器用に動く仕組みになっています。この講義では、世の中にある様々なロボットのメカニズムを理解しそして設計するための基盤技術として、これらの複数のリンクメカニズムについて学びます。これを理解するためには、高校時代で習うベクトル・行列・微分・積分等の数学と、物体の運動法則を扱う物理学が基本となります。

手で物を移動させる時、人間は物体のどこをどの方向からどのくらいの力でつかみ、どの面を下にして置けばよいか等、一連の手の動きを無意識に決めることができます。しかし現状のロボットに同じ仕事をさせる場合、物体の位置や形状に応じてすべての動きをいちいち教えなければなりません。現在、人工知能は飛躍的に進歩し、一定条件下において頭の中だけで考える問題ならば、人間をはるかに凌駕するほどになりました。しかし、このように実物体を操作する等、外界との力学的相互作用の存在する運動制御(人工技能)に関しては、まだまだ発展途上にあります。それゆえ、複数の家庭内家事をきちんと代行してくれるロボットはまだ遠い夢です。

しかし、その夢に向かって世の中は今一斉に走り出しています。名だたるIT企業がこぞって研究に乗り出すなど、ロボット開発は世界中で熾烈な競争を繰り広げています。大手通信販売会社の倉庫内では、受注商品を素早く運ぶロボットが日夜活躍しています。私たちが幼い日に思い描いた未来は、少しずつ着実に近づいています。“まだ世に出ていないロボットを作りたい”。そんな夢は、高校時代の数学や物理の延長線上にある学問を学ぶことから始まります。大きな夢への第一歩を、この学びから踏み出してほしいと願っています。

医用情報科学科・専攻

医用情報科学概論増谷佳孝教授ほか

自然科学・工学と医療の観点から学ぶ専門性の高い情報科学

情報科学と自然科学、工学をベースにしており、将来的に医療や福祉の分野で応用できる学問です。「バイオ情報学」「医用画像工学」「医用ロボット」「脳情報科学」「医用情報通信」の5つのカテゴリで構成され、それぞれの分野を研究する教員が講義に当たるオムニバス形式になっています。3年次以降自分が何を研究したいかの判断材料になる基礎知識を習得します。各回でのレポート提出により習熟度を計ります。

医療で使用される情報科学技術は格段の進歩を遂げ、医師の支援を行える段階まで到達しました。新薬開発支援のためにコンピュータ内で様々な化学反応をシミュレートすることもできますし、X線CTやMRIなどを用いた画像診断では見落としの防止と高度な診断の支援に役立っています。また、さらに高度な医療の支援を実現するため、医用情報科学の学びは大変重要視されています。

情報科学部が設置されている大学は数多くありますが、本学のように細分化され自然科学、工学と医療の観点からより専門的に情報科学を学べる学科は全国でも数えるほどしかありません。他大学の医学部や病院の先生と共同研究を行っている教員も数多く在籍しています。開発職を含め、医療機器メーカーへの就職を志す学生はもちろんのこと、コンピュータやプログラミングに興味があり、かつ医療や医学分野に貢献したいという学生にはぜひここで学んでほしいと思います。

医用情報科学実験Ⅰ・Ⅱ福田浩士准教授ほか

情報工学を医療に生かすスペシャリストの育成

脈波計測実験

IT化が進む現代で、情報系の学問は極めて重要性を増しています。本学の医用情報科学科では、医療と情報工学が融合した分野の知識や技術を学ぶことができます。中でも、この「医用情報科学実験」は、医療機器などで使用されているコンピュータプログラムや、電子回路の設計・実装などを行い、実践的に学べる科目です。具体的には、脈波や筋電といった生体信号をコンピュータに取り込んでデータ化し、コンピュータ間で通信する技術を学びます。30人という少ない定員で1人1台の機器を使えることも魅力です。

これからの医療分野の発展には、今まで以上に工学分野との結びつきが重要になってきます。この科目で学ぶ内容は、Apple Watchなどデジタルヘルス製品で使用されているので、最先端といえるでしょう。また、遠隔医療システムについて学ぶことで、高齢化社会における在宅医療等での活用法なども見出せるかもしれません。

身体が不自由であっても字が書ける、テレビが見られるなど、脳波を測定し、そのデータを読み込んでコンピュータやロボットを動かせる時代がやってきました。ものと人とがインターネットでつながることで、今まで不可能だったことが可能になったのです。“ものづくりの現場での即戦力”を目標に掲げて学んでいる学生たちは、医療分野のみならず、自動車関連や電機メーカーなど、IoTを見据えたすべての業界で能力を発揮できると確信しています。

学部共通科目

コンピュータ基礎日浦慎作教授

コンピュータの中身を覗いてみよう

パソコンやスマホがない時代は、売上の集計のような仕事でもそろばんをはじいて行っていました。コンピュータの登場は、私たちの暮らしや仕事、さらには娯楽の向上をも実現してくれたのです。そのコンピュータが今も飛躍的に進化している、その歴史とこれからについてまず学びます。そして講義の前半ではハードウエアを、後半にはソフトウエアを中心に学習。通信やセキュリティなど、今後さらに重要になる分野も含み、まさに「コンピュータの中身を覗く」ガイド役の講義です。

古くからある工学部や理学部とは違い、情報を専門に扱う「情報科学部」があるのが本学の特徴。そしてこの科目はその名の通り、この学部に入学して最初に全員が受ける「情報科学部らしい」講義といえます。授業を通じて、世の中に「情報」の存在感が増していることが実感できるでしょう。2年生進級時に4つの学科を選ぶまでに、自分は何に興味があり、何に向いているのか気付いてもらえるよう、スライドに写真や動画を多く入れることで、「なるほど」と直感的に分かる授業を目指しています。講義が終わる半年後には、「コンピュータに詳しい人」になっていますよ。

専門的な仕事には資格がつきものですが、「情報」にも資格試験があります。有名なところでは情報処理技術者試験があり、多くのIT企業が重視しています。「手に職」というと古くさいようですが,これからの時代、ますます資格は大きな強みになります。この講義は資格の勉強にもなりますし、また、どんな分野で仕事をするにしても役に立つ内容ばかりです。情報科学への興味を高め、夢を持って進路選択ができるよう、楽しく面白い講義を心がけています。

線形代数学Ⅰ岡山友昭講師

さまざまな問題に取り組むための基礎 行列理論を学ぶ

例えばx+2y=3, 2x+3y=4という連立1次方程式は、中学生のときに習得していると思います。連立1次方程式をグラフ化すると直線になることから、これらを「線形」と呼んでいます。行列もまた、線形という性質を持っています。行列の理論は、数学のあらゆる分野において基礎的な役割を持った、大切な入り口。物理学や工学、統計学、経済学など広い分野で利用されています。理論は簡単なので、複雑な問題に取り組むための出発点とも位置付けられています。連立1次方程式や行列、逆行列など、線形の性質を持つ問題を考えていくのが、線形代数学です。

連立1次方程式の解を求める過程で発見されたのが行列。講義では、行列の本質を理解し、連立1次方程式を行列の世界で考えていきます。行列に逆行列をかけると、解が求められます。では、その逆行列が何なのか、その仕組みや解き方を知るのが、線形代数学Iのメインとなります。講義は2コマ連続で設けてあり、2コマ目は演習の時間にあてています。配布されたプリントの問題を、講師やティーチングアシスタントのアドバイスを受けながら解いて提出。翌週には添削されて返却されます。まずは手を動かし、問題に慣れてもらうことが大切です。

行列は、システムのしくみを数字化して表したもの。これを利用したものが、社会の広い分野で用いられています。天気予報や、グーグルのページランクなどは、行列の膨大なデータから導き出されているのです。ソフトウエアはどんどん進化していますが、カスタマイズしたいなと思ったときなどは、やはり基礎となる線形代数学を理解していることが重要になります。どんなときでも基礎として存在し、難しい問題の元となっています。

上の問題(1次方程式)と下の問題(連立1次方程式)は「線形」という共通点があります。